さらに気まぐれな日記

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風琴と魚の町

ある映画監督のお言葉

僕の自慢は、尾道に映画の記念碑やセットを残していないことだ。映画を見た人の心に残ったものが記念碑。セットを残そうなどという提案はすべて断ってきた。尾道市にとってはそれが不満だったのだろう。
男たちの大和」という映画がふるさとで撮影されたことは、誇らしく思う。僕の尾道での撮影スタッフも協力した。でもセットは残すためのものじゃない。スクリーンに映し出されて初めてリアリティーを持つ。単なる張りぼては、夢を壊すだけではないか。
恒久的に残すものとして、戦艦大和の歴史がある呉市につくられたのなら賛成するが、いかにセットを残すかばかりに気を取られた尾道市につくられたことは、大和にとっても不幸だ。
小学生からも金をとって、ふるさとや戦争を商売にしている。セットが公開されているうちは尾道とは絶縁だ。これは、大林映画30年の理想に対する否定であって、怒らないわけにはいかない。
僕の願いは、ふるさとがあるがままに残って欲しいということだ。高度成長期、尾道でも古いものが壊されたが、これからは古いものを残すことが資源になる。「そこにしかない暮らし」を求めて旅人は来るのだから。

町の風景そのものが、映画のセットでもある尾道という町には、あまりにもそぐわないモノだと私も思ったりする。まぁ他に映画の撮影が出来る場所が無かったのであれば、撮影期間中は仕方が無いにしても、いつまでも置きっ放しにしているのは、仮に期間限定でもどうなんでしょうね。これ、地球博の時のトトロの家とは意味合いも違うし。。。
町がまた元の静けさを取り戻した頃、私もまた訪れようかと思う。